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競馬 機械学習 回収率は 100% を超えるか? 過去 1 年・3,402 レースの検証

競馬の機械学習で回収率が 100% を超えて見えるのはなぜか。Tippa が過去 1 年の 3,402 レースで、オッズに情報を足したモデルが市場を上回るかを、範囲つきで検証しました。

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競馬 機械学習 回収率は 100% を超えるか? 過去 1 年・3,402 レースの検証

競馬に機械学習を使えば、回収率は 100% を超えるのか。この問いに、Tippa は過去 1 年の公式データで確かめました。結論を先に書くと、オッズ(市場の見立て)に、前走の着順や斤量、馬体重の増減などの事前の情報を足した機械学習のモデルは、確認用の期間で市場を上回れませんでした。単勝で最も勝つ確率が高いと見た馬を買った結果は、1番人気とほぼ同じ馬を選び、回収率もほぼ同じでした。

ただし、これは「機械学習は無意味」という意味ではありません。1 年分のデータと、今ある程度の情報では、という範囲の話です。この記事では、何をどう検証したか、検証の中で回収率が高く見えたものが何だったかを、数字と範囲つきで説明します。

1. 検索で見かける「機械学習で回収率 100% 超え」の読み方

機械学習の競馬予想で高い回収率を見たとき、確かめるべき点は 3 つです。

  • その成績は、学習に使っていない期間で確かめたものか。学習に使った期間の成績は、答えを見て解いた結果に近く、高く出るのが普通です。
  • レースの時点では分からなかった情報(確定オッズや着順など)が混ざっていないか。
  • 件数と範囲が書かれているか。少ない件数や、人気薄中心の買い方の回収率は、偶然でも 100% を超えます。

Tippa が最初に 4 か月分で試した機械学習の AI は、回収率が 3,600% などになっていました。未来の情報が混ざった検証で、使えない数字です。未来情報の混ざり方は、別の記事で詳しく説明しています。

2. Tippa の検証:オッズに事前の情報を足すと、市場を上回るか

検証には、JRA-VAN の公式データを使いました。2025 年 10 月 4 日〜2026 年 9 月 22 日に確定した、出走 5 頭以上の 3,402 レース、出走 47,002 頭です。払戻は公式の確定した実額で、各券種 1 点 100 円で計算しています。

モデルは、オッズから読める勝つ確率を土台に、前走の着順・上がり 3F の順位・位置取り、斤量(平均との差・前走との差)、レース間隔、馬体重の増減を足したもの(レースごとの勝ち馬を当てる形)です。前半(2025 年 11 月〜2026 年 3 月)で学び、後半(2026 年 4 月〜)で確かめました。

見る点結果
当てはまり(対数尤度)オッズだけのモデルが −3,262.5、事前の情報を足したモデルが −3,266.4(わずかに悪い)
前半での見え方前半では +5.4 良く見えたが、前半のデータに合わせすぎた分だった
オッズの係数約 1.0(確定オッズは、勝つ確率をほぼそのまま表している)
最も勝つ確率が高い馬の単勝的中 34.2%・回収率 81.5%(1番人気は 34.1%・80.9%)
後半(確認期間)での、オッズだけのモデルとの比較
後半(確認期間)の単勝の回収率(1 点 100 円)後半の単勝の回収率は、モデルが最も勝つ確率が高いと見た馬が 81.5%、1番人気が 80.9%で、ほぼ同じです。どちらも 100% を下回っています。回収率 100%モデルの最有力馬81.5%1番人気80.9%
後半(確認期間)の単勝の回収率(1 点 100 円)

Tippa の検証(過去の払戻データで計算し直した結果)。後半は 2026 年 4 月〜。

この図を文章で読む

後半の単勝の回収率は、モデルが最も勝つ確率が高いと見た馬が 81.5%、1番人気が 80.9%で、ほぼ同じです。どちらも 100% を下回っています。

前半で良く見えた差が、後半では消えたことが重要です。これが、前半の成績だけで判断してはいけない理由です。モデルが選ぶ馬は、1番人気とほぼ同じ馬でした。上回るには、ここに無い情報(調教、血統、騎手・厩舎の傾向、馬場の偏りなど)と、数年分のデータでの確認が必要だと考えています。

3. 56 通りを試したら、100% 前後に見えるものが出た

Tippa は別の検証として、16 のルールと券種の組み合わせ 56 通り(56 セル)を、結果を見る前に決めた手順で試しました。学習期間(2025 年 12 月〜2026 年 3 月、1,122 レース)の成績だけで 5 通りを選び、確認期間(2026 年 4 月〜9 月、1,704 レース)を 1 回だけ判定しました。

結果は、選んだ 5 通りすべてが「人気順と区別できない」でした。数字が高く見えたものも、範囲を見ると偶然で説明できる幅の中です。

例確認期間の回収率(90% 範囲)同じレースの人気順読み方
市場より高く見るモデルのワイド(553 レース)96.3%(81〜113%)80.8%範囲の下端は人気順の点推定を上回るが、人気順との差の下側は −2.5 ポイント。事前に決めた条件には届かず、区別できないと判定
単騎で逃げる馬の単勝(454 レース)127.3%(77〜183%)78.9%3 回の高配当(9,320・9,040・4,050 円)を除くと 77.9%。範囲が広く、偶然の範囲
確認期間(1 回だけの判定)で高く見えた 2 例

1 つ目のワイドは、学習期間でも同じ向き(91.4% 対 人気順 73.4%)でした。当たりと断定はできませんが、本番の発走 30 分前ごろのオッズで、前向きに確かめる価値のある手がかりとして残しています。「手がかりがある」ことと「利益が出る」ことは別です。

4. 試した数が多いほど、偶然の当たりが混ざる

56 通りを試すと、本当は差が無くても、片側 5% の基準で数通りは偶然に人気順を上回って見えます(56 の 5% は約 3 通り)。実際に確認期間で人気順を範囲ごと上回ったのは 4 通りで、数としては偶然の範囲でした。機械学習は、条件の組み合わせを大量に試せるため、この「試した数」の問題が特に起きやすい道具です。成績を見るときは、いくつ試した中の最良なのかも合わせて確かめてください。

もう一つの基準として、無作為に 1 頭を選ぶ単勝でも、学習期間(1,122 レース)は 138.0%(範囲は 67〜225%)、確認期間(1,704 レース)は 69.4%(範囲は 53〜86%)でした。3,402 レース全体では 91.4%(範囲は 66〜123%)で、何も考えずに選んでも 100% を超えて見える期間があります。

5. 人気順(1番人気を買う)を基準にする

Tippa が機械学習を含むどの AI も「人気順」と並べて見るのは、市場並みの水準がどこかを知るためです。3,402 レースで、人気順の単勝は的中 33.2%・回収率 78.7%(範囲は 75〜82%)でした。控除率どおりの、市場並みの水準です。運営 AI のうち、この 1 年の検証で人気順を上回ったものはありません。この事実は、Tippa の入口に置く無料の AI の位置づけにも関わるため、隠さずに書いています。

6. 機械学習の成績を見るときの確認リスト

  • 学習に使った期間と、成績を出した期間が分かれているか(確認は 1 回だけか)
  • 発走前に分からない値(確定オッズ、着順、払戻)を使っていないか
  • 人気順など、基準になる買い方と同じ期間・同じレースで比べているか
  • 件数と 90% 範囲が書かれているか。範囲の下端が 100% を超えているか
  • いくつ試した中の最良の結果か

Tippa では、AI の予想を締切前に提出して封印し、レース確定後に公式の結果で精算します。レース前に提出した予想はあとで変えられないので、「学習と確認を分ける」「未来を混ぜない」という約束が、仕組みとして守られます。この記事の数字は、過去の払戻データで計算し直した検証結果で、封印した予想の成績とは別のものです。

7. 数字の出どころと計算の方法

  • データ:JRA-VAN の公式データ(成績と払戻)。2025 年 10 月 4 日〜2026 年 9 月 22 日に確定した JRA のレースのうち、出走 5 頭以上の 3,402 レース、出走 47,002 頭。
  • 買い方:各券種 1 点 100 円。オッズと人気は確定値を使っています。実際の AI は発走 30 分前ごろの値を見るため、人気に寄る規則ほど、ここでは少し良く出ます。
  • 範囲:レース単位の再標本 2,000 回(90% 範囲)。乱数の種は固定しています。
  • 限界:1 年分のデータで、調教・血統・騎手や厩舎の傾向などは入っていません。数年分での確認は、まだです。