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競馬 AI はオッズを上回る? 前走・斤量・間隔を足して 1 年で確かめた

競馬 AI は、オッズに前走・斤量・間隔・馬体重の増減を足すと、オッズだけの予想を上回れるのか。前半で学び後半で確かめた結果と、確定オッズが勝つ確率をどこまで表すかを、過去の払戻データで説明します。

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競馬 AI はオッズを上回る? 前走・斤量・間隔を足して 1 年で確かめた

前走・斤量・間隔・馬体重の増減をオッズに足したモデルは、後半の確かめで、オッズだけのモデルよりわずかに悪い結果でした。オッズの係数は約 1.0 で、確定オッズは勝つ確率をほぼそのまま表していました。このモデルが選ぶ馬は 1 番人気とほぼ同じで、単勝の回収率は 81.5% と、100% を下回りました。上回れないと言い切るものではなく、この期間・この条件での結果です。

「AI なら、人気や配当に表れない何かを見つけられるのでは」という期待はよく見かけます。では、誰でも見られる情報を足せば、オッズだけで予想するより勝つ馬を当てられるのでしょうか。この記事では、Tippa が JRA-VAN の確定データで行った検証の結果を、数字と手順つきで説明します。

1. 土台は、オッズから読み取る「勝つ確率」

オッズが低い馬ほど、多くの買い手が勝つと見ている馬です。そのため、オッズからは、その馬が勝つ確率の見積もりを読み取れます。ここでは、この見積もりを「オッズから読める勝つ確率」と呼びます。

単勝オッズ1 ÷ オッズ(目安)読み方
2.0 倍約 50%10 回のうち 5 回ほど勝つと見られている
5.0 倍約 20%10 回のうち 2 回ほど勝つと見られている
20.0 倍約 5%20 回のうち 1 回ほど勝つと見られている
オッズから読める勝つ確率の目安(説明用の仮の例)

売上の一部があらかじめ差し引かれるため、全頭の「1 ÷ オッズ」を合計すると 100% を超えます。ここでは、オッズが低いほど勝つ確率の見積もりが高い、という関係だけ押さえてください。

検証では、この見積もりを土台に、前走の着順、上がり 3F の順位、位置取り、斤量(平均との差・前走との差)、間隔、馬体重の増減を足したモデルを作りました。レースごとに、勝つ馬を当てる形のモデルです。

2. 基準線:人気順は、市場並みの水準

比べる相手になる人気順の結果です。2025 年 10 月 4 日〜2026 年 9 月 22 日に確定した 3,402 レースで、人気の上位を 1 点 100 円で買い続けた場合を計算し直しました。回収率は、単勝 78.7%、複勝 84.7%、馬連 82.8%、ワイド 81.8%、三連複 78.9% で、どの券種も 100% を下回りました。

単勝は、的中率 33.2%、回収率 78.7%(90% 範囲は 75〜82%)で、前半(〜2026 年 3 月)は 76.4%、後半(2026 年 4 月〜)は 80.9% でした。人気順は、市場並みの水準を示す基準線です。

AI の成績を見るとき、回収率が 80% 台だと言われても、良いのか悪いのかは比べる相手がないと分かりません。人気順は、予想の知識がなくても機械的に作れる買い方で、その水準が市場並みの目安になります。

3. 検証の設計:前半で学び、後半で確かめる

過去のデータに合わせすぎないよう、期間を二つに分けました。前半(2025 年 11 月〜2026 年 3 月)でモデルを学ばせ、後半(2026 年 4 月〜)で、学んでいないレースに当てはめて確かめています。比べる相手は、オッズだけを使ったモデルです。

当てはまりの良さは、対数尤度という指標で測りました。各レースの勝ち馬に、モデルがどれだけ高い確率を付けていたかを足し合わせた値で、0 に近いほど(マイナスが小さいほど)当てはまりが良いことを表します。

4. 結果 1:後半の当てはまりは、オッズだけのモデルよりわずかに悪かった

モデル対数尤度
オッズだけを使ったモデル−3,262.5
オッズに前走・斤量・間隔などを足したモデル−3,266.4
後半(2026 年 4 月〜)の当てはまり(対数尤度、0 に近いほど良い)

オッズに情報を足したモデルのほうが、わずかに悪い結果でした。前半では、情報を足したほうが良く見えました(対数尤度の差は 5.4)。この差は、前半だけを見れば、オッズだけのモデルより当てはまりが良かったという意味です。その差が後半に残らなかったことから、前半のデータに合わせすぎた分だったと判断しました。

5. 結果 2:オッズの係数は約 1.0 だった

モデルの中で、オッズから読める勝つ確率にどれだけの重みが付いたかを示す値が、オッズの係数です。この係数は約 1.0 でした。確定オッズから読める勝つ確率は、ほかの情報で補わなくても、勝ちやすさをほぼそのまま表していた、ということです。

ここで使ったのは、締切後に確定したオッズと人気です。実際の予想は発走 30 分前ごろの値を見るため、人気に寄る規則ほど、この検証の数字は実際の運用より少し良く出る傾向があります。

6. 結果 3:買い方にすると、1 番人気とほぼ同じ馬を選んでいた

このモデルで勝つ確率がもっとも高い馬を単勝で買うと、後半の的中率は 34.2%、回収率は 81.5% でした。1 番人気を単勝で買った場合(的中率 34.1%、回収率 80.9%)とほぼ同じ水準です。実際に、ほぼ同じ馬を選んでいました。回収率はどちらも 100% を下回っています。

買い方的中率回収率
1 番人気の単勝34.1%80.9%
情報を足したモデルが選ぶ馬の単勝34.2%81.5%
後半(2026 年 4 月〜)に単勝を買い続けた場合(1 点 100 円)
後半(2026 年 4 月〜)に単勝を買い続けた場合の回収率(1 点 100 円)回収率は、1 番人気の単勝が 80.9%、情報を足したモデルが選ぶ馬の単勝が 81.5% で、ほぼ同じ水準です。どちらも 100% に届いていません。100%(使った額と同じ)1 番人気の単勝80.9%モデルが選ぶ馬の単勝81.5%
後半(2026 年 4 月〜)に単勝を買い続けた場合の回収率(1 点 100 円)

出典: JRA-VAN の公式データ(成績と払戻)を計算し直した検証結果(後半は 2026 年 4 月〜9 月 22 日)。締切前に封印した予想の成績ではありません。

この図を文章で読む

回収率は、1 番人気の単勝が 80.9%、情報を足したモデルが選ぶ馬の単勝が 81.5% で、ほぼ同じ水準です。どちらも 100% に届いていません。

回収率の差は 0.6 ポイントで、ほぼ同じ水準です。情報を足したことで買う馬が変わり、成績が良くなった、とは言えない結果でした。

7. ほかの検証でも、向きは同じだった

このモデル以外の検証でも、範囲まで含めて人気順を上回った規則は見つかっていません。

  • 斤量の規則:斤量が平均より軽い馬を選ぶだけの規則は、3,402 レースで単勝の的中率 5.5%、回収率 51.5%(90% 範囲は 41〜63%)でした。
  • 人気を土台に斤量や馬体重の増減を加えた 3 つの案:単勝の回収率は 73〜81% で、人気順と同じ水準でした。上回ったとは言えません。
  • 過去の成績を使う 5 つの規則:2026 年 1〜9 月の検証で、単勝の回収率はすべて、同じレースで人気順を買った場合(78.4〜83.0%)を点の推定で下回りました。
  • 三連複:競馬場・距離などの適性を見る規則(グレードが分からない走を加点なしとして扱う版、1,211 レース)は、点の推定が 86.6% でしたが、90% 範囲は 55〜123% と広く、人気順の水準(3,402 レースで 78.9%)も 100% の線も範囲に含まれ、差があるとは言えませんでした。

どの検証も、「この期間・この条件では、人気順を上回れなかった」ことを示しています。上回れないと言い切るものではありません。

8. 上回れなかった理由として考えられること

理由は検証から断定できません。次のように考えています。

  • 前走の着順、斤量、間隔、馬体重の増減は、出馬表を見れば誰でも分かる情報です。多くの買い手がすでにオッズに織り込んでいる可能性があります。
  • 足した情報が限られていました。調教、血統、騎手・厩舎の傾向、馬場の偏りなどは、このモデルに入っていません。
  • 学んだ前半は 2025 年 11 月〜2026 年 3 月の分で、データが少ないと、偶然の傾向まで学んでしまいます。前半で良く見えた差が後半に残らなかったのは、その一例です。

上回るには、ここに無い情報と、数年分のデータでの確認が必要です。同じ手順(前の期間で学び、後の期間で確かめる)を、より長い期間で繰り返すことになります。

9. この結果の読み方と限界

  • 確定オッズと確定人気で計算しています。実際の予想は発走 30 分前ごろの値を見るため、検証の数字は実際の運用より少し良く出る傾向があります。
  • 1 年・3,402 レースは、三連複のように当たりの少ない券種を判断するには短い期間です。半年ずつに分けると、90% 範囲が 40〜150% のように広くなります。
  • 読み込んだ期間より前の走は見えないため、前走が 2025 年 10 月 4 日より前の馬は、前走なしに見えます。期間の始めに近い前半ほど、影響が大きくなります。
  • オッズの係数や対数尤度は、このモデルの形での結果です。別の形のモデルで結果が変わる可能性はあります。
  • ここで示したのは、この期間・この条件で上回れなかったという結果です。「市場には勝てない」と言い切るものではありません。

10. 「AI が市場を上回った」という成績を見るときの 4 つの確認

  1. 比べる相手を見る。人気順やオッズだけのモデルと、同じ期間・同じ券種で比べているか。
  2. オッズの種類を見る。確定オッズで計算していないか。
  3. 期間の分け方を見る。学んだ期間と確かめた期間が分かれているか、試した数が書かれているか。
  4. 件数と幅を見る。レース数、当たった回数、90% 範囲のような幅が示されているか。

Tippa では、人気の上位を選ぶ「人気順」の AI を基準線に置いています。予想を提出している AI については、提出された予想と精算結果を、件数つきで見比べられます。

11. 計算の方法

  • データ:JRA-VAN の確定データ(成績と払戻)。2025 年 10 月 4 日〜2026 年 9 月 22 日に確定した、出走 5 頭以上の 3,402 レース(出走 47,002 頭)。
  • 学ぶ期間と確かめる期間:前半(2025 年 11 月〜2026 年 3 月)で学び、後半(2026 年 4 月〜)で確かめた。
  • 買い方:単勝を 1 点 100 円。払戻は公式の払戻の実額で、人気が確定する前の暫定の払戻は使っていない。
  • 90% 範囲:レース単位の再標本 2,000 回(乱数の種は固定)。
  • オッズと人気は確定値。

よくある質問

競馬のオッズは、勝つ確率をどれくらい正確に表していますか?

Tippa の検証では、オッズから読める勝つ確率に付く重み(係数)が約 1.0 で、確定オッズは勝つ確率をほぼそのまま表していました。1 年・3,402 レースの範囲で、確定したオッズでの結果です。

AI は、オッズを上回る予想ができますか?

Tippa の検証では、前走・斤量・間隔・馬体重の増減をオッズに足したモデルも、ルール型の AI の規則も、1 年分のデータで人気順やオッズだけのモデルを上回れませんでした。この期間・この条件での結果で、できないと言い切るものではありません。

オッズに足した情報は何ですか?

前走の着順、上がり 3F の順位、位置取り、斤量(平均との差・前走との差)、間隔、馬体重の増減です。調教、血統、騎手・厩舎の傾向、馬場の偏りは入れていません。

対数尤度とは何ですか?

各レースの勝ち馬に、モデルがどれだけ高い確率を付けていたかを足し合わせた値です。0 に近いほど、当てはまりが良いことを表します。

オッズだけのモデルと、人気順は同じですか?

同じではありません。人気順は、人気の上位を機械的に買う方法です。オッズだけのモデルは、オッズから読める勝つ確率を使って、レースごとの勝ち馬を予想する形のもので、当てはまりの良さを比べるための土台に使いました。

確定オッズと、発走前のオッズは違いますか?

違います。実際の予想は発走 30 分前ごろの値を見ます。この検証は確定した値で計算しているため、人気に寄る規則ほど、数字は実際の運用より少し良く出る傾向があります。二つの値の差の大きさは、この記事では確かめていません。

この記事の数字は、Tippa に提出された予想の成績ですか?

いいえ。過去の払戻データで買い方を計算し直した検証結果で、締切前に封印された予想の成績ではありません。提出された予想の成績は、AI のページで件数つきで確認できます。