競馬の回収率の信頼区間とは? 90% 範囲で読む 3,402 レースの検証
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回収率の数字は、レース数や当たった回数で大きく動きます。人気順の 3,402 レースと、対象が少ない規則の結果を並べ、90% 範囲の読み方と、差があると言える条件を、過去の払戻データの検証結果で説明します。
回収率は、少数の高配当で大きく動きます。90% 範囲は、その揺れの大きさを示す目安です。人気順の 3,402 レースでは単勝の範囲が 75〜82% と狭い一方、的中が 5 回だけだった規則の三連複は 6〜288% と、何も言えない幅でした。数字を読むときは、レース数、的中回数、範囲、同じレースの人気順との差の 4 点を確かめます。
「この AI は回収率が高い」と書かれていても、それが何レース分で、何回の当たりから出た数字なのかが分からなければ、実力なのか運なのかは判断できません。この記事では、回収率の「幅」の読み方を、JRA-VAN の確定データで計算し直した 3,402 レースの検証結果を使って説明します。
1. 回収率は「合計の割り算」だから、1 回の高配当で動く
回収率は、払戻の合計を購入額の合計で割った数字です。1 点 100 円で買い続けたなら、100 レースで購入額は 1 万円になります。この間に 1 度だけ 1 万円の払戻が出ると、回収率は 1 回の当たりだけで 100 ポイント押し上げられます。
同じ 1 回の払戻でも、1,000 レースで見れば押し上げは 10 ポイント、3,402 レースなら約 3 ポイントです。レース数が増えるほど、1 回の当たりの影響は薄まります。逆に、レース数が少ないうちは、運の良い当たりが 1 回あるかどうかで、回収率の見た目が大きく変わります。
| 買ったレース数 | 購入額の合計 | 1 回の 1 万円の払戻による押し上げ |
|---|---|---|
| 100 レース | 1 万円 | 100 ポイント |
| 1,000 レース | 10 万円 | 10 ポイント |
| 3,402 レース | 34 万 200 円 | 約 3 ポイント |
2. 「90% 範囲」は、その揺れの大きさを示す目安
Tippa の検証で示している 90% 範囲は、対象のレースを無作為に選び直して回収率を 2,000 回計算し直したとき、数字がおおむね収まる幅です(乱数の種は固定しているので、同じデータから同じ数字を再現できます)。統計の言葉では、再標本から求める信頼区間に近い考え方です。
幅が狭ければ、レースを選び直しても回収率はあまり変わらず、数字がそれなりに安定していることを意味します。幅が広ければ、同じ規則でも運次第で数字が大きく変わる、つまり今の数字からは多くを言えないことを意味します。
3. 同じ人気順でも、券種によって幅は違う
まず、基準になる人気順の結果です。人気の上位を機械的に買い続けた場合を、2025 年 10 月 4 日〜2026 年 9 月 22 日に確定した 3,402 レースで計算し直しました(1 点 100 円)。確定した人気とオッズで計算しているため、実際の運用より少し良く出る傾向があります。
| 券種 | 的中率 | 回収率 | 90% 範囲 | 範囲の幅(上限−下限) |
|---|---|---|---|---|
| 単勝 | 33.2% | 78.7% | 75〜82% | 7 ポイント |
| 複勝 | 65.3% | 84.7% | 83〜87% | 4 ポイント |
| 馬連 | 17.0% | 82.8% | 77〜89% | 12 ポイント |
| ワイド | 33.4% | 81.8% | 78〜85% | 7 ポイント |
| 三連複 | 9.5% | 78.9% | 71〜88% | 17 ポイント |
出典: JRA-VAN の公式データ(成績と払戻)を計算し直した検証結果(2025 年 10 月 4 日〜2026 年 9 月 22 日、3,402 レース)。締切前に封印した予想の成績ではありません。
この図を文章で読む
90% 範囲の幅(上限と下限の差)は、複勝が 4 ポイント、単勝とワイドが 7 ポイント、馬連が 12 ポイント、三連複が 17 ポイントで、当たりが少ない券種ほど幅が広がります。
3 回に 2 回当たる複勝は幅が 4 ポイントしかなく、10 回に 1 回ほどしか当たらない三連複は 17 ポイントあります。当たりが多い券種ほど、レースを選び直したときの揺れが小さく、当たりが少ない券種ほど大きくなります。回収率の水準そのものは、どの券種も 100% を下回る 79〜85% でした。
この人気順の水準(市場並み)が、後の比較の基準線になります。期間を前半(2025 年 10 月〜2026 年 3 月)と後半(2026 年 4 月〜)に分けても、単勝は 76.4% と 80.9%、三連複は 76.0% と 81.8% で、ほとんど変わりませんでした。
4. 的中が少なければ、幅は「何も言えない」ほど広がる
次に、当たりの少ない買い方で、対象のレース数が少ない場合です。Tippa のルール型 AI の規則を、2026 年 1〜9 月のレースのうち、規則に必要な過去の記録がそろったレースだけに絞って計算し直しました。単勝と三連複を、それぞれ 1 点 100 円で買い続けた場合の結果です。
| 規則が使う情報 | 対象レース数 | 単勝の回収率(90% 範囲) | 同じレースで人気順を買った単勝 | 三連複の回収率(90% 範囲) |
|---|---|---|---|---|
| 直近 5 走の第 1 コーナーの位置 | 274 | 68.2%(43〜97%) | 78.4% | 112.7%(6〜288%)。的中は 5 回 |
| 全頭の単勝オッズと直近 5 走の着順 | 1,218 | 76.9%(44〜119%) | 82.6% | 0.0%。1,218 レースで的中 0 回 |
| 前走の着順 | 1,293 | 76.9%(66〜88%) | 83.0% | 62.5%(28〜105%) |
| 前走の着順と上がり 3F | 1,293 | 58.3%(51〜66%) | 83.0% | 49.4%(34〜66%) |
| (参考)人気順。2025 年 10 月〜2026 年 9 月の 3,402 レース | 3,402 | 78.7%(75〜82%) | ― | 78.9%(71〜88%) |
三連複の列を見てください。直近 5 走の第 1 コーナーの位置を使う規則は、点の推定(112.7%)だけを見ると 100% を超えて見えます。しかし、274 レースで当たったのは 5 回で、範囲は 6〜288% でした。収支がプラスなのかマイナスなのかも言えない幅です。数回の高配当に数字が引っ張られている可能性が大きく、この数字から規則の良し悪しは言えません。
全頭の単勝オッズと直近 5 走の着順を使う規則は、三連複が 1,218 レースで一度も当たらず、回収率は 0.0% でした。単勝の範囲も 44〜119% と広く、こちらも運の影響が大きい結果です。
対象のレース数が多ければ幅が狭くなる、というわけでもありません。同じ 1,293 レースでも、三連複の幅は 77 ポイント(28〜105%)の規則と、32 ポイント(34〜66%)の規則があります。幅を決めるのは、レース数だけでなく、当たりの回数と、当たったときの配当のばらつきです。
5. 「差がある」と言えるのは、どんなときか
規則の回収率が人気順より高く見えても、範囲が人気順の水準と重なっているうちは、差があるとは言えません。目安として、同じレースで比べた単勝の人気順の数字と、範囲の位置関係を 3 つに分けて読みます。
- 範囲が人気順の水準と重なる:差があるとは言えない。例:全頭の単勝オッズと直近 5 走の着順を使う規則の単勝は 76.9%(44〜119%)で、同じレースの人気順の 82.6% が範囲の中にある。
- 範囲がすべて人気順より低い:下回ったと言える。例:前走の着順と上がり 3F を使う規則の単勝は 58.3%(51〜66%)で、人気順の 83.0% に届いていない。
- 範囲がすべて人気順より高い:上回ったと言える。この記事に載せた検証では、単勝にそうした規則はありませんでした。
6. 前半で良く見えた条件が、後半に残らない例
期間を分けて見ることも欠かせません。斤量を使った規則を直すために、案を 5 つ、結果を見る前に決めて試しました(試した数は 5)。前走より斤量が 1kg 以上軽く、前走が 5 着以内の馬を選ぶ案は、前半の単勝で回収率 114.5% と、良く見えました。
| 期間 | 的中率 | 回収率 |
|---|---|---|
| 前半(2025 年 11 月〜2026 年 3 月) | 15.5% | 114.5% |
| 後半(2026 年 4 月〜) | 18.6% | 65.7% |
同じ案を後半で確かめると、回収率は 65.7% でした。条件を何通りも試すと、たまたま過去に合った条件が良く見えます。試した数が多いほど、偶然の当たりが混ざります。前の期間で条件を決めて後の期間で確かめる手順と、試した数の記録は、そのための歯止めです。
半年ずつに分けると、三連複のように当たりの少ない券種では、90% 範囲が 40〜150% のように広くなり、差を見分けられないことも分かっています。
7. 公開された回収率を読む 5 つの確認
- 対象のレース数と、当たった回数を見る。当たりが数回なら、ほかの数字は読まない。
- 90% 範囲のような幅の表示があるかを見る。点の推定だけの数字では、揺れの大きさが分からない。
- 同じレース・同じ券種・同じ期間の人気順と並べているかを見る。人気順の単勝は約 79% で、これが基準線になる。
- 期間を分けて確かめているかを見る。前半だけ、直近の数か月だけを切り出した数字は、後半に残らないことがある。
- 確定オッズ・確定人気で計算した数字ではないかを見る。実際の予想は発走前のオッズで行われる。
この 5 点のうち、読み取れないものが多い数字は、判断の材料にしないほうが安全です。
8. この検証の計算方法と限界
- データ:JRA-VAN の確定データ(成績と払戻)。人気順は、2025 年 10 月 4 日〜2026 年 9 月 22 日に確定した、出走 5 頭以上の 3,402 レース。
- 規則の結果:2026 年 1〜9 月のレースのうち、規則ごとに必要な過去の記録がそろったレースだけ。規則ごとに対象のレース数が違うため、表の人気順の単勝は、同じレースで買った場合の数字。
- 払戻:公式の払戻の実額を 1 点 100 円で集計。人気が確定する前の暫定の払戻は使っていない。
- 90% 範囲:レース単位の再標本 2,000 回(乱数の種は固定)。同じデータから同じ数字を計算し直せるよう、手順を記録している。
- オッズと人気は確定値。実際の予想は発走 30 分前ごろの値を見るため、人気に寄る規則ほど、この検証の数字は実際の運用より少し良く出る傾向がある。
- 読み込んだ期間より前の走は見えないため、前走が 2025 年 10 月 4 日より前の馬は、ここでは前走なしに見える。
- 1 年・3,402 レースは、三連複のように当たりの少ない券種を判断するには短い期間。数年分のデータでの確認が必要。
よくある質問
競馬の回収率は、何レース分あれば信用できますか?
決まった本数はありません。当たりの多い複勝は、3,402 レースで範囲の幅が 4 ポイントでしたが、当たりの少ない三連複は 17 ポイントありました。レース数だけでなく、当たりの回数と範囲を見て判断します。
90% 範囲とは何ですか?
対象のレースを無作為に選び直して回収率を 2,000 回計算したとき、数字がおおむね収まる幅です。揺れの大きさを見る目安で、将来の成績を約束するものではありません。
回収率が 100% を超えていれば、実力があると言えますか?
言えません。数回の高配当に支えられていることがあるためです。範囲の下限まで 100% を超えているか、期間を分けても同じかを確かめてください。この記事に載せた検証では、範囲の下限が 100% を超えた規則はありませんでした。
人気順より回収率が高い AI は、良い AI ですか?
点の推定が高くても、範囲が人気順の水準と重なっているうちは、差があるとは言えません。同じレース・同じ券種・同じ期間で並べ、範囲まで見て判断してください。
この記事の数字は、Tippa に提出された予想の成績ですか?
いいえ。過去の払戻データで買い方を計算し直した検証結果で、締切前に封印された予想の成績ではありません。提出された予想の成績は、AI のページで件数つきで確認できます。