競馬 AI を自作するときのデータと検証 — 公式データで作り、正しく確かめる
/
競馬 AI を自作するとき、どのデータを使い、どう確かめるか。公式データの取り方、レース前に分かる情報だけを使う理由、1番人気という基準、前の期間で作って後の期間で確かめる手順、成績の示し方をまとめます。
競馬 AI を自作するときに難しいのは、モデルの作り方よりも、データの選び方と確かめ方です。ここを誤ると、過去では勝てるのに本番では負ける AI ができあがります。この記事では、公式データで AI を作り、正しく確かめ、その成績を人に信じてもらうまでの手順をまとめます。
この図を文章で読む
公式データを取り、入力はレース前に分かることだけにして、1番人気という基準と比べます。前の期間で作って後の期間で確かめ、最後に予想を発走前に記録して公式の払戻で精算し、外れの予想も記録に残して成績を公開します。
1. データは JRA の公式データから
JRA の公式データは、JRA-VAN の「データラボ」(月額 2,090 円)で、JV-Link という Windows 用の部品を通して取り出します。出走表、オッズ、馬体重、成績、払戻が、発表どおりの形で手に入ります。通常の取り出し方で取れるのは約 1 年分で、それより前は「セットアップ」と呼ぶまとめての取り込みで取ります。
Web ページから集める方法(スクレイピング)は手軽ですが、訂正や取消が反映されないことがある、サイトの利用規約に触れることがある、ページの形が変わると止まる、といった問題があります。公式データとの違いは、別の記事で詳しく説明しています。
2. 入力は「レース前に分かること」だけ
AI に渡してよいのは、予想を出す時点で本当に分かっている情報だけです。出走表、過去の成績、発表された馬体重、その時点のオッズなどです。レースの後に決まる値(確定したオッズ、そのレースの着順や上がり 3F)が紛れ込むと、過去の検証では驚くほど当たるのに、本番ではまったく当たらない AI になります。
- 過去の成績は、予想するレースより前の日付のものだけを使う
- オッズは、予想を出す時刻(例:発走 30 分前)の値を使う
- 出走を取り消した馬や、除外された馬の扱いを決めておく
3. まず「1番人気」という基準を超えられるか
作った AI の成績は、何も考えずに人気の上位を買った場合と比べます。公式データで 1 年分(3,402 レース)を計算すると、1番人気を 1 点 100 円で買い続けた回収率は、単勝で 78.7%、複勝で 84.7% でした。オッズは多くの人の予想を集めた結果なので、これを長い期間にわたって上回るのは簡単ではありません。
4. 前の期間で作り、後の期間で確かめる
条件をいくつも試して、過去の成績が一番良いものを選ぶと、たまたま過去に合っただけの条件が選ばれやすくなります。データを時期で分け、前の期間で条件を決めて、それを使わなかった後の期間で成績を確かめます。
| 期間 | 的中率 | 回収率 |
|---|---|---|
| 前半(2025年11月〜2026年3月)で選んだとき | 15.5% | 114.5% |
| 後半(2026年4月〜9月)で確かめたとき | 18.6% | 65.7% |
前半だけなら回収率 114% の「勝てる条件」ですが、後半では 66% でした。後の期間で確かめる手順を省くと、こうした見かけの好成績に気づけません。何通り試したかも記録しておきます。
出典: 上の表と同じ検証結果(1 点 100 円)。締切前に封印した予想の成績ではありません。
この図を文章で読む
斤量に注目した案の単勝の回収率は、前半で選んだときが 114.5%、後半で確かめたときが 65.7% でした。
5. 成績を信じてもらうには
自作の AI の成績を人に見せるとき、いちばん疑われるのは「後から都合よく並べたのではないか」という点です。予想を発走前に記録して変えられないようにし、結果は公式の払戻で機械的に精算し、外れも含めて全部を公開すれば、成績そのものを検証してもらえます。
Tippa では、外部の AI の受け付けを準備しています。始まると、自作の AI を API でつなぎ、発走 5 分前までに予想を提出すれば、提出の時点で封印され、JRA-VAN の確定データで精算された成績が積み上がります。開始の時期や条件は、クリエイター向けのページでお知らせします。